昨日の夜を思い出すと思わず赤面し、腰の痛みが何度とぶり返す。

ヨハンは留学生組だけで実技だったっけ?
あぁくっそー、今日は休めばよかったぜ。





−腰痛−

   


「いってぇー・・・」

とある日の授業中、爆睡していた十代の口から漏れたこの言葉に、翔は眠気が吹き飛んだ。

何故かって?

そりゃ、好きで好きでしょうがない愛しいアニキ分が、さっきの言葉とともに腰の辺りを摩っていたのだ。
これでは、そんな気持ちを持ってしまっている以上、転倒等の事故を予想する前に嫌でも卑猥な想像を掻き立てられてしまう。

それが自分より身長がある、自分と同じ男だとしても。

翔は、思わず頭の中で繰り広げられそうになった思考を気合でストップし、隣で机に伏せている十代におずおずと声を掛けた。
どうやらさっきの行動は無意識だったのか、呼ばれて目覚めた十代は、寝起きの掠れた声で返答をよこす。

「んー・・・どうした?」

相当熟睡していたのか、起こされた十代は盛大なあくびをし、潤んだ瞳で見上げてきた。

「えっ?!いや、あの、そのっ、アニキがうなされてるみたいで、えーと・・・」

「俺がうなされてた?つーかどうしたんだ翔?真っ赤だぞ?」

あまりの事でしどろもどろになる翔を尻目に、伏せていた机から身を起した十代は、また顔をわずかに歪めた。
そんな顔にさえ反応してしまう思春期真っ盛りの弟分は、耐え切れなくなったのか勢い良く立ち上がり

「ちょ、ちょっとっと僕トイレ行ってくるっす。」

と言い残してもの凄い勢いで教室を後にした。

残された十代は、無意識に腰をさすりながら「アイツ、どうしたんだ?」と首を傾けるしかない。


それを後ろでみていたサンダーは、ため息を一つついて呟いた。

「これが所謂天然デストロイ、か。」

「え?なんか言ったかサンダー?」

くるっと振り向いた十代をなんでもないと軽くあしらい、ついでとばかりに問うてみる。

「貴様、腰が痛いのか?」

万丈目とて十代に焦がれる1人、翔より理性は上回ったようだが気にならない訳がない。
運動神経は無駄に良さそうな十代だが、サルも木から落ちるという言葉もあるし、きっと・・・

しかし。そんな楽観的な万丈目に対して、質問を投げられた十代は若干驚いたように目を見開いた。

「な、なんでわかんだよ?」

「何故って、さっきから腰を摩っているだろ。」

ほら。と万丈目が指を指した方向を辿ると、腰の辺りに当てられた十代の左手が。
それを確認した十代はパッと手を離し、軽く焦りながら両手をブンブン振り回し、なんでもないと繰り返す。

この様子を見て、流石に嫌な予感がした。

「十代?お前、まさかとは思うが『がたがたがたガタガタガタタタタ』

万丈目は身を乗り出し十代に答えを迫ろうとしたが、授業が終わった生徒達に言葉をかき消されてしまった。
2人は互いに目を合わせながら暫く固まり、教室に誰もいなくなると、そそくさと十代が動いた。

「待て」

今はまだ確定とまではいかないが、どうやらサルも(以下略)という訳でもなさそうで。
万丈目は思わず十代を引きとめ、腕を引いて壁に背を押し付けた。

「てぇーっ!な、なんなんだよサンダー!」

勢いがよすぎたのか、うっすら瞳に涙を浮かべる十代の、その顔の横に右手を付け、左で顎を持ち上げる。

「で?」

「?」

顎を固定している為か、それとも万丈目の目が真剣すぎたのか。
十代は目線を合わせたまま動けなくなり、ヒヤリと汗が流れるのを感じた。

「どうして腰が痛いのか、きっちり説明願おうか。」

「だーかーらっ 別になんともないって!」

今度は本気で焦り始めた十代に、ほとんど確信を持ってしまった万丈目は、イライラと舌を打った。
胸がもやもやする。チリチリと痛む。
目の前の愛しい人間が困ったようにヘラヘラ笑うのが、とてもじゃないが我慢できない。

「・・・・・ヨハンか?」

「・・・!!」

その言葉に、十代の瞳が微かに揺れた。
あぁ、大正解のようだ。万丈目は口の端で笑った。


「俺がどうかしたか?」


ビクリと十代の体が揺れたのを感じて扉の方を見やる。
そこには、蒼い髪の男が怪訝そうな目でこちらを見ていた。

「チッ。噂をすればなんとやらか。」

万丈目は十代を解放してやると、ものすごい速さで近づいてくるヨハンに不敵に笑いかけた。

「サンダー、十代になにをしていた。」

「いやなに。ただちょっとした質問しただけだ。」

「質問・・・?」

ヨハンは睨むように万丈目を見ながら、立ち尽くしたままの十代に駆け寄って行く。

「どうして腰を痛めたのか。翔も気になってたみたいだからな。俺が変わりに聞いてやった。」

そう言ってじゃぁなと去って行く万丈目。
ヨハンは驚いたように立ち止まり、万丈目の背中を見つめ、そのまま十代に目線を移動させた。

十代はまた困ったように笑って、ポリポリと頬を掻く。

「いやぁー、無意識の内に腰を摩ってたみたいで、さ。」

無意識って怖いなぁアハハと冗談っぽく笑うのを見て、ヨハンは十代を引き寄せ抱きしめた。
そして大きなため息をつき、

「それは俺のセリフだって。・・・あいつに、サンダーに何もされてないか?」

心配そうに顔を覗きこんで、重ねるだけのキスをした。
その様子に心底安心したのか、十代はヨハンの背中に腕を回して胸板に顔を埋め、大丈夫だと囁いた。

「ほんと、目を離せばすぐに悪い虫が付きそうだよなぁ十代って。」

「なんだよそれー。」

「まぁ今回は俺のせいみたいだけど。昨日の夜、がっつきすぎたよな。ごめん。」

「あやまるなって。お、俺だって。その・・・//」

「ははっ。わかってるって。愛してるぜ、十代っっvv」





その頃、万丈目はイライラしながら校内を歩いていた。

「くそ。ヨハンのヤツ。よくも十代の貞操を・・・!!」

そんな危ない言葉を呟きながら、ふと、足を止めた。
そしてニヤリと顔を歪める。

「そうだ、なら奪えばいいじゃないか!!」

ぐっと拳を握る万丈目。

「待ってろ十代!!いつか貴様を手に入れてやる!!!」





ブルッ

「ん?どうした十代?」

「いや、なんか寒気が・・・」




終わっとけ。








あとがき
あれ?なんかだらだらした文章になってしまいました。汗
ヨハ十あまあまギャグ目指してたんですけどねー・・・

とにかく、読んで下さった方、ありがとうございました!!
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